2013年5月14日火曜日

「㈱テラダイ」を見る

「たまの力 ~多摩ブルー・グリーン倶楽部会員企業のNEXT STAGE~」 の取材のために,平成25年5月13日(月)の午後,埼玉県入間市にある 「株式会社杉山チエン製作所」 の訪問に続いて⇒「m-shige's log: ㈱杉山チエン製作所を見る」,近くにある 「株式会社テラダイ」 を訪問しました.

 ㈱テラダイは,溶融した金属材料を金型に圧力を掛けながら流し込んで成形する,ダイカストによる生産を生業としている会社です.成形された部品に対する加工や,その他の部品との組み付けといったアセンブリ工程にも対応しており,アルミ合金製の自動車エンジンの部品が,主力製品となっています.

ダイカストマシンが並ぶ成形工場
250トンのダイカストマシン
小型マシニングセンタで構成される機械加工工場

 創業30年となった2006年(平成18年)に,慣れ親しんだ社名を 「株式会社寺園産業」 から 「株式会社テラダイ」 へ変更.「テラダイ」 という社名は,第2創業期となる新たなる30年,「テラ」(地球・大地)のごとく,「ダイ」カストで,「ダイ」ナミックにを為す,という創業者と後継者の念(おも)いを込めて名付けたものだそうです.

 現在のテラダイは,国内に2つと,海外(中国)に2つ,合計4つの生産拠点を展開しています.2007年(平成19年)の10月,埼玉県鶴ヶ島市に新設された,敷地面積3,000坪の 「鶴ヶ島工場」 は,2階の渡り廊下の壁がガラス張りになっており,そこからは1階の工場全体が,まるでスポーツ観戦をしているかのように見渡せるそうです.この鶴ヶ島工場のコンセプトは,「営業ツールになる工場」 床の隅々までピカピカで,裸足で歩けるという鶴ヶ島工場は,夢と志を刻んだテラダイの 「記念碑」 的な存在といえるものです.

 他社との共同開発によって,これまで大手メーカーでも成し得なかった 「半凝固(セミソリッド)」 状態の原料を使用したダイカスト成形技術を確立しました.これによって,従来では不可能であった複雑な金型による鋳造と製品強度の向上が実現されました.従来の製品と比較して,組織の密度が高まり,複雑な金型による繊細な製品の場合でも,基準を超える強度が得られています.製品の小型化についても,さらに可能性が広がるものと期待されています.また,半凝固ダイカストの研究機関として 「東日本セミソリッド技術開発センター」 を開設しており,大学をはじめ,企業間での技術情報の共有や共同開発にも取り組んでいます.

 2009年(平成21年)4月には,地域経済を活性化させるために,埼玉県入間市周辺にある中小企業5社で構成されるソリューション型協業受注集団として,「チーム入間」 を結成.それぞれの企業が得意とする 「とんがった」 技術を組み合わせ,「日本製」 にこだわり,「超精密」加工を中心に,「提案型」 の営業を積極的に行い,お客様に喜んで頂ける 「ワンストップソリューション」 を提供しています.5社の協業で仕事を受注,製作,販売することによって,製品実現までのリードタイムの短縮を実現しました.

「ものづくり」は「人づくり」 テラダイでは,人材育成にも力を入れています.「テラゾノ道場」 と呼ばれるダイカストや会計に関する勉強会を通して,社員同士の結束が強まり,その結果,志の高いプロ集団となったそうです.代表取締役社長の寺園智樹さんの使命は,プロパーの取締役を早く作ること,会社運営が出来る人材を育てることだそうです.


「大変とはピンチではない! 何かを大きく変えるチャンスである」 ということばが座右の銘であるという社長の寺園智樹さんは,とにかく前向きで,明るい方でした.「社員からは,『丸投げの放任主義』なんて言われてる(笑)」 と,嬉しそうに話されている様子を拝見しながら,「この人は失敗した人を叱ったりはしないだろうなぁ…」 などと,勝手な想像をしていました.結果として,会社全体が挑戦しやすい雰囲気になっているように感じました.涙の数だけ大きくなれる! そんな気分になった取材でした(笑)

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