平成25年7月30日火曜日は,型技術協会 第3回新加工技術研究委員会で,長野県佐久市にある「樫山金型工業株式会社」 を見学しました.最寄り駅の佐久平駅まで,大宮からの新幹線で,たったの50分.長野も,新幹線が使えるところは気軽に行けるのですね.今更ながら,驚きです.
13時30分から始まった委員会は,まず,樫山社長から,会社概要の説明と金型業界の現状についての話題提供がありました.①デザイン・試作~成形まで幅広く対応,②8,000型の実績,③微細切削加工技術に活路,④データ・セキュリティ及びトレーサビリティへの対応,とにかく,しっかりした金型づくりを目指しておられるということです.
製造業のプロセスが変化し,ものづくりの中心軸は日本から移行,垂直立ち上げ販売に対応できるのは中国だけ.日本は,ハイエンドとローエンドに二極化し,中間は海外へ.多品種少量生産は,製品1個あたりにかけられる金型費が少ない.そうなると,金型を安く作らなければならなくなる.金型の付加価値,市場価格が減少していく.そして,金型の技術力も落ちていく.金型は,大量生産のための道具なのです.
私も,依頼原稿などで何回か紹介したことがある 「D3テクスチャー(R)」 は,「3D Digital Designツールによる製品表面の意匠を自由にデザインするための新しいプロセスです。従来、主にエッチング加工で処理していた金型表面意匠をデジタルデータとして作成し、高速微細切削加工により再現します。」 樫山金型工業は,この技術に関するプロジェクトに積極的に参画しています.従来の処理と比較した時の利点は,①全く新しいパターンの開発,②同じテクスチャーの再現性,③凹凸の高さのコントロールやグラデーションの表現が可能,④深さのあるテクスチャー,⑤データの取り回しが容易で大容量のデザインデータに対応可.逆に,エッチングで対応した方がよいケースとしては,①大きな面積に対する加飾,②既にパターンが用意してあって,一から作る必要がない場合,③切削では加工できない超微細なパターン(ナノ,マイクロ以下),ということです.個人的には,製品に付加価値を加える新技術として期待しているので,関係者の皆さんには,引き続き頑張っていただきたいです.
続いて,CGSのKIZMさんから,CAMソフトウェアの現状について話題提供がありました.現在市販されているCAMソフトウェアの新機能は,MSG(英),Volumil(米),iMachining(米)などのベンダーが提供している,いわゆるCAMカーネルを利用して開発されたものが殆どです.展示会などで,どのブースでも同じ様な機能を紹介しているように感じるのは,このためです.今後ますます,業界の再編が加速すると思われます.
最後に,工場を見学させていただきました.YASUDAのマシニングセンタが7台も導入されていました.放電加工機は,三菱が多かったです.一番驚いたのは,放電加工用に製作している電極の数です.1年間で,1万5千個も作るそうです.切削では対応できないような加工が増加し,放電加工の割合が増えてきているそうです.
久しぶりに,本格的な金型メーカを見学したような気がします.CAD/CAMの工程のコストが問題になっているとか.関連する研究に携わるものとして,まだまだやることは多いと思いました.
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