2009年11月6日金曜日

大学にMCはもったいないのかも...

 今週,学科実験実習工場にある横形マシニングセンタ A55のスピンドル油が漏れていることが判明しました.実は,スピンドル付近から油が漏れていることは分かっていたのですが,低速回転時は,それほど問題ではなかったのでそのままにしていました.最近,学部生が金型のキャビコアの加工をすることになり,小径のエンドミルで加工するために高速回転させていたところ,20リットルのスピンドル油が一日でなくなりました.さすがにダメだと思い,メーカーに修理をしてもらうことにしました.
 原因は,あまりにも利用頻度が低いために,油が循環せずにヘドロ化したものが沈殿して流路が狭くなり,高速回転時に戻りきれなくなった油が漏れ出ていたということです.人間に例えれば,運動しないために血液が循環せず,不純物で血管が細くなってしまい,血圧上昇時に出血してしまった,という感じでしょうか.なんにしても,作業した人が呆れるほどの惨状で,交換できるパイプやフィルタを全て交換し,手の届くところは全てふき取るという作業を丸二日してもらい,ようやく使える程度に回復したという状況です.ただ,また,いつ再発するか予断を許さないということなので,しばらくオイルゲージに注意しながら使用しなければなりません.
 このようなことは,日常的に工作機械を使っている企業などでは考えられないということで,少なくとも一週間に一回は電源を入れて,油をまわすように指導を受けてしまいました.よい工作機械だと,これまで自慢してきたのに,なんという体たらくでしょう.恥ずかしい限りです.もっと,多くの人に使ってもらうように,運用方法を考えなければならないと痛感しています.

2009年11月5日木曜日

学生から,よい意見をいただきました

 これまでに書いたことがあると思いますが,私は担当している学生実験のテーマで,CAMを利用した加工について教えています.1週目にCADで定義した形状を,2週目にCAMでNCデータを作成して,Rolandの加工機で加工するというものです.1グループ平均7名なので,7つのデータが提出されることになりますが,全てのデータを加工するのは時間的に不可能なので,学生1人あたり2票を与えて,多数決で3つのデータを選ばせていました.
 今日は,この実験のレポートの提出締切日でした.いつものようにチェックしていると,最後に書かせている感想に「もっとちゃんと削りたかった」という意見が多いことに気が付きました.現在の実験では,荒加工も仕上げ加工も,φ6のボールエンドミル1本で済ませています.そのため,隅部などには刃が届かず,期待した結果が得られないという問題が頻繁に見られました.正直,私自身は削る前から「この作品はうまく削れないだろうな」と分かるのですが,選んだ学生達の希望を尊重したつもりで,そのまま削らせていました.出来は今ひとつでも,たくさん削った方がうれしいだろうと思っていました.しかし,今回のレポートの感想を見て,仕上げ加工では小径の工具に交換するなど,企業で行われているものと同等の加工プロセスを体験させた方がよいのかもしれないと考えるようになりました.
 途中から実験内容を変えるわけにいかないので,今年度はこのままの方針で最後まで進めますが,来年度は提出された作品の中から,適切なものを私が1つだけ選んで,徹底的にこだわった加工を体験させるように,実験内容を再検討してみます.試してみたいフリーのCAMソフトウェアも色々あるので,私としての楽しみもあります.