2011年3月5日土曜日

台北にて(3.ITRI)

 台北に来て三日目の3月4日金曜日は,工業技術研究院を見学しました.私の恩師である阪大のT先生が,工業技術研究院の方と共同で研究活動をしておられ,T先生の下で働いているN先生のお計らいで見学する機会を得ることができました.
 N先生が滞在している台北のホテルに集合し,先方が用意してくれた車に乗って1時間,新竹にある工業技術院に到着し,T先生の指導で学位を取ったJさんの出迎えを受けました.
 まず,ショールームに移動して,研究院の成果について説明を受けました.既に商品化されたもの,これから商品化されるもの,商品化にはもう少し開発が必要なものなど,色々な成果が展示されていました.この研究院の特徴は,国が重点的に支援する分野の研究に注力して,関連する工業製品の開発に企業と一緒になって取り組んでいるという点です.研究というより,商品開発という印象です.日本では,産総研がこのような組織に対応すると思いますが,産総研はどちらかというと研究所という印象が強いように思います.
 所内の食堂で昼食を取った後,14時から訪問した日本の大学の先生4名と学生1名が,自分の研究についてプレゼンを行いました.私のプレゼンは2番目でした.話慣れた内容でしたが,途中で息切れして,最後の方がグダグダになってしまいました.いつものことですが,一日だけ英語がうまくなるということはありえません.本当に,本当になんとかしなければいけません.
 夕方は,Jさんの研究室を見学させていただきました.Jさんの研究室は,主に照明装置などの製品への応用を睨んだ超精密加工の研究をしています.たくさんの実験室に,たくさんの装置が設置されていて,内容は日本の公的な研究所と比較しても,まったく遜色ありませんでした.企業との共同開発も多く手がけていて,途中,試作品らしきものをいくつも見ました(見ていいのか心配でしたが).中には,昨日TIMTOSで見た工作機械と同様に,「これで商品化していいのか?」と思うようなものもありましたが,これも「とにかく,どんどん発信していこう!」という気持ちから出てくる行動なのでしょう.しかし,行動の結果として得られるものは少なくないと思います.日本の企業や研究機関も,見習うところがあるのではないでしょうか.
 夕食は,滞在中に食べてきた台湾料理とはまったく別物の四川料理をご馳走になりました.左の写真は,本場の台湾バナナです.やはり,新鮮な完熟バナナはおいしいです.本日の訪問に最高のもてなしで対応していただいたJさんには,心より御礼申し上げます.

2011年3月3日木曜日

台北にて(2.TIMTOS)

 台北に来て二日目の2011年3月3日木曜日は,台北國際工具機展覽會を見学しました.会場の世界貿易中心に到着したのは会場時間である10時の直前でした.日本のJIMTOFのように,Regstrationが混雑していることを覚悟していたのですが,並んでいたのは1列20人ぐらいでした.JIMTOFでは考えられないことです.早速,会場を見て回りましたが,工具やツーリング,部品の展示ばかりでした.確かに出展数は多いと感じましたが,客はまばらで,噂に聴いていたTIMTOSもこんなものなのかな?と思いながら見学していたところ,独OPENMIND社のブースで,「工作機械を見に来たのなら南港展覧館に行った方がいいですよ」と言われて,初めて会場が二つに分かれていることを知りました.早速,無料のシャトルバスに乗って,正午前に南港展覧館に到着しました.
 見学を開始して,すぐにメイン会場はこちらの南港展覧館だということが分かりました.JIMTOFに例えてみれば,東地区6ホールは南港展覧館と言えば分かりやすいかと思います.会場の広さも出展数も,JIMTOFと比較して遜色はないと思いました.見学者も多く,大変な盛会でした.危うく,世界貿易中心だけを見てTIMTOS見学を終えてしまうところでした.
 見学してまず感じたこのは,「台湾の工作機械メーカーは,こんなにたくさんあるのか!」JIMTOFの出展は,日本のメーカーがほとんどでしたが,それと同様に,TIMTOSの出展は台湾のメーカーの数が圧倒的でした.
 そして,各工作機械メーカーが使用しているNC装置は多様化していました.JIMTOFで見られるNC装置は,日本のF社のものがほとんどです.TIMTOSでも,日本製のNC装置を採用している工作機械はたくさんありました.日本のM社のNC装置は,日本よりも多く使われているのではないでしょうか.しかし,私がよく話題にするドイツのH社やS社のものはもちろん,アメリカやスペインのNCを使っている機械も多く見られました.各メーカーとも,数多くのNC装置の中から,開発した工作機械の目的や仕様を考慮して,適切なものを自由に選択しているようです.特に,安価であるという点では,台湾製のNC装置がかなり普及してきていることがわかりました.
 次に感じたことは,台湾の工作機械産業では,部品の共通化が進んでいるということです.最初は,「なんだか,似たような機械がたくさんあるなぁ」と思いながら見学していました.カバーなどの外見は,日本やドイツの工作機械にそっくりなものがたくさん見られました.そのうち,主軸頭やテーブルの形がまったく同じ機械があることに気が付きました.会場で聞いた話では,主軸,主軸頭,テーブル,カバーなど,台湾には工作機械の部品を作る会社がたくさんあって,各工作機械メーカーは,それらの部品メーカーから部品を購入して組み上げているそうです.これでは,安く作れて当然です.各メーカーの特徴というものは見えにくくなりますが,今はとにかく安くたくさん作ることに集中しているというところでしょうか.
 5軸制御マシニングセンタを出展している台湾のメーカーもたくさんありました.独創的で興味深い機械もありましたが,ほとんどがNC円テーブルにより回転2軸を付加して5軸にしたような構成が多く,最近のドイツや日本のメーカーの5軸専用機と比較して,性能も今ひとつのようでした.位置決め精度0.002mm&繰り返し精度0.003mmでは,まだまだ精度的には力不足です.NC装置はドイツ製のものを使っている機械が多かったので,問題は機械構造そのものにあると思われます.しかし,このレベルでも国際的な展示会に出してくる積極性には,大変感銘を受けました.値段はずいぶん安く設定されているようなので,量産向けを狙っているのかもしれません.安価な5軸制御マシニングセンタが普及するなんて,なんと恐ろしいことでしょう.
 夜は,知り合いの人達と一緒に,台北で一番有名な夜市だという「士林観光夜市」に行きました.私の目標は「牛肉麺」でした.「台湾に行ったら食べた方がよい」と,色々な人から勧められていました.夜市の近くにあった屋台でビールと一緒に食べることができましたが,これは確かに名物というべき食べ物ですね.特に,よく煮込んだ牛肉が柔らかくて美味でした.夜市で食べた焼きビーフン(30TWD)や鶏肉飯(20TWD)もよかった.台湾料理,なかなかいけます.

台北にて(1)

 3月2日から,台北に来ています.1日から開催されている「台北国際工作機械見本市」を見学するためです.工作機械に関する技術は日本の方が上で,昨年JIMTOFもあったばかりなのに,今更台湾まで行ってまで見る必要があるのか?と思う人がいるかもしれません.しかし,工作機械の生産額において,世界で上位を占めている,欧州,中国,台湾,韓国のメーカーのほとんどは,JIMTOFには出展してきませんでした.理由は色々ですが,日本を市場と見なしていないようです.日本にいるだけでは,技術以外の動向が分かりません.そこで今回,初めてJIMTOF以外の工作機械見本市に行ってみようと思い立ったわけです.特に,台湾の工作機械メーカーは,最近では技術的にも力をつけてきて,台湾のメーカーの旋盤をライセンス生産させてもらっている日本のメーカーがあるぐらいです.明日からの視察が楽しみです.
 羽田発のフライトは14時15分発だったので,今日一日は移動で終わりました.現地時間の19時に宿泊するホテルに到着して,すぐに工作機械や工具を扱っている業者の社長さんと夕食を食べに行きました.この社長さんとは,Twitterで相互フォローしている関係で,今回,同じ展示会に行くことが判明してから,現地で会食しようと約束をしていました.いつも,過激なつぶやきをしている方なので,正直,ちょっと心配していたのですが,お会いしてみると大変気さくな方で,昔からの知り合いだったように話がはずみました.これは,典型的なTwitter効果といえるでしょう.
 私は,比較的理想論に近い提案をする方だと思っています.しかし,ゴールが明確でありません.この社長さんの提案はとても現実的でした.誤解を恐れず言えば,最近,企業は綺麗事だけでは成り立たないということを認識する機会が増えています.自分では考えていなかった意見を聞くことができて,目が覚める思いでした.今度は,日本でじっくりお話ししたいです.
 シンガポールではうまくいかなかった海外ローミング,今回の台湾では携帯もiPadもすんなり成功し,ホテルではネットは使い放題.発信環境はバッチリです.明日から,色々と発信します.

2011年3月1日火曜日

報告書と文章力

 今日の午後は,ものづくり技術戦略マップ検討委員会の報告書のとりまとめについて最終的な検討をするために,虎ノ門に行ってきました.私は幹事として,最後の「まとめ」の章の文章を書くことになりました.2時間ぐらい作業する時間があったのですが,私が参考になりそうな原稿を読んでいる間に,委員長の先生は,何の資料も見ないで「はじめに」の章の文章を書き上げてしまいました.内容を見せてもらいましたが,普段から色々と勉強していないと書けない内容でした.よい文章がすらすら書ける人は,普段から色々な文献を読んでいるのですね.私も,本は読んでいる方だと思っていましたが,まだまだ勉強が足りないということを痛感しました.
 自分で言うのもなんですが,私はよい文章を書く方だと思っています.しかし,最初からすらすらと書いていくという感じではなく,色々なところから書き始め,最後に前後のつながりなどを見直しながら,体裁を整えるという書き方です.どちらかと言えば,遅筆ですね.私だけでなく,理系の人はこのような書き方をする人が多いのではないでしょうか.
 しかし,今回の仕事のように,今後は文章を書く機会が増えそうなので,あまりチンタラ書いているとダメかもしれません.これまでの書き方もいいと思いますが,文豪のように,最初から一気に書き上げるようなことも,できるようになりたいです.

2011年2月28日月曜日

オフ会の様子が日刊工業新聞に掲載されました

 先週の土曜日に藤沢市の湘南台で大々的に開催されたTwitterオフ会の様子が,今日の日刊工業新聞に掲載されました.当日のオフ会に参加していた日刊工業新聞社の方が熱心に取材していて,今日の新聞に記事が掲載されることは知っていましたが,今朝,TwitterのTLを見ると,この記事のことでずいぶん盛り上がっているではありませんか!早速,最寄りの調布駅に行ってみたところ「取り扱っていません」.駅構内で見た気がしたんですけどねー.一応,コンビニを何店か徘徊してみましたが,あるハズもなく,しょんぼりしたまま大学に向かいました.
 諦めきれず,都内で働いている妻に連絡して,お昼休みに地下鉄の駅を見てくれるように頼んでみましたが,取り扱っていなかったり,朝刊対応の時間が終わっていたりで,結局,手にれることはできなかったそうです.
 断腸の思いで現物を手に入れることは諦めて,大学の図書館に行き,新聞閲覧コーナーで,やっと現物を見ることができました.なんと,37面のほぼ全体を占めるほど,大々的に取り上げられていました.著作権の問題があるので,写真などを載せることなどができないのが残念です.オフ会に参加した人達のつぶやきを,普段から見ていなければ書くことができない,大変すばらしい内容でした.オフ会の様子の写真も掲載されていて,偉そうに腕を組んで人の話を聞いている私の姿が写っていました.腕を組んで人の話を聞いていはいけないと,色々な人から指摘されていたのに,肝心な時に悪い癖が出ました.嬉しいというより,反省です.
 この記事は全国に配信されました.反響が楽しみですね.

2011年2月27日日曜日

実家でイカメンチ

 昨日のTwitterオフ会の2次会が終わったのは12時過ぎ.実家に泊まることは連絡していましたが,午前様になることは両親も想定していなかったようで,少々呆れ気味でした.
 このイカメンチ,先週,実家で暮らしていた学生時代によく食べていたことを突然思い出しました.今から思うと,大好物だったのです.そして,Twitterで「食べたい」という素直な気持ちを何気なくつぶやいたところ,フォロワーである某漫画家の先生が,実際に食べに行ってリポートするなど,かなり盛り上がってしまいました.私自身も,どうしようもなく食べたくなり,親に今日の朝食で食べさせてくれるようにお願いしてありました.揚げていないものを買い求め,冷蔵庫のチルド室で保存してあったものを,朝食の直前に揚げてくれました.
 見たときの印象,「小さくなったな」.私も大きくなったので,相対的な大きさが変化したのかもしれませんが,昔の7割ぐらいに感じました.
 箸でつかんだ時の印象,「軽くなったな」.私も力がついたので,相対的な重さが変わったのかもしれませんが,昔はつかみ上げることは困難でした.
 割ってみたときの印象,「白くなったな」.このイカメンチは,イカのげそと玉ねぎのみじん切りをつなぎあわせ,衣をつけて揚げたものです.玉ねぎがずいぶん増えた気がします.昔は,もっとイカが多かったような気がします.
 食べたときの印象,「これは違うだろ」.昔の記憶では,歯ごたえはイカでむっちりしていて,本当にイカを食べているという感覚が支配的でしたが,今日食べたものは,イカの存在がうれしい!という感じです.2個しか食べられないだろうと思っていたところ,あまりにあっさりとしているので,3個も食べてしまいました.
 結果として,少々がっかりした気分になってしまいました.私も,昔の好物の思い出を,美化しすぎていたのかもしれません.こうなったら,自分の納得するイカメンチを再現するしかありませんね.

Twitter オフ会 in 湘南台

 昨日の夜18時より,Twitterを通じて知り合いになったものづくりな人達が,全国各地から私のホームタウンである藤沢市湘南台に集結しました.その数,なんと30人!飛び入りの方も数名いましたから,実際はそれ以上になりますね.もともとは,湘南台の金型設計屋の2代目な方と,近くに住んでいる漫画家の先生と,実家が近くにある私の3人で,「いつか,湘南台でじっくり飲みましょう!」という誓い合ったことを,設計屋2代目な方が企画してくれたことがきっかけです.日時も,私の都合を優先して設定していただきました.しかし,Twitterで色々と相談しているうちに他のフォロワーの人も合流するようになって,みるみるうちに参加者が増加していきました.福井,名古屋,茨城など,遠方からも来てくれた人もいました.私が言うのもおこがましいですが,本当にありがたいことです.会の取りまとめをしてくれたOさんには頭が下がります.本当に,ありがとうございました.
 オフ会に先立ち,15時から金型設計屋の2代目な方の事務室に私を含めた6人が集まり,「業種を超えた協動と役割分担」というテーマで座談会を行いました.テーマからも分かると思いますが,中小企業が得意分野を持ち寄ることによって,大手に負けない産業を起こせないかという内容です.様々な意見が出ました.この座談会の内容については,2010年1月に合併した某CAD/CAMメーカ所属な方がまとめてくださるそうなので,許可が得られれば,このブログでも紹介して,ご意見を伺いたいと思っています.私の感想としては,中小企業の可能性と限界を強く感じました.そして,ものづくりを実務としていない自分の軽さを実感しました.
 18時半から開催されたオフ会は,大変な盛況でした.今日も新しい出会いがありました.やはり,自分の考えを持っている方との会話は,とても刺激になります.昨年末に神田で開催したオフ会も楽しかったですが,今回のオフ会も,本当に楽しかった.おそらく,参加している人が,この繋がりに打算的なものを期待していないからだと思います.何か有意義なミッションなどと重く考えないで,繋がっているだけでいいような気がします.このような繋がりが,いつまでも続くといいですね.


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