2012年11月3日土曜日

CAD/CAM in JIMTOF2012

 今日は朝から東京ビッグサイトに行って,1日中,JIMTOF2012を見学しました.実はある出版社から,JIMTOF2012 における「CAD/CAM/CAE,制御技術」に関する動向と,気が付いたトピックなどについて解説する原稿を依頼されています.今日は,この記事のための取材に専念させていただきました.

 記事の構成として,「新技術・新機能」,「5軸・複合加工機能」,「異業種への展開」を考えています.まず,これまでになかった「新技術・新機能」ですが,予想していたとおり,どのCAD/CAMベンダーも,プログラムのマルチスレッド化やGPUの活用など,処理の高速化や大容量のデータへの対応などについてはアピールしていましたが,目立った新機能は無いように感じました.強いてあげれば,2, 3のベンダーのCAMソフトウェアが,工具にかかる負荷を考慮して径方向の切り込み量や送り速度を最適化し,加工時間や工具寿命を向上させる機能を紹介していたことぐらいでしょうか.

 次に,「5軸・複合加工機能」ですが,5軸加工の機能については,やはり目新しいものは見当たりませんでした.ただ,どのベンダーも,5軸による荒加工の問題については認識しているようでした.一方,複合加工の機能については,マルチタレット,マルチスピンドルの複合加工機に対し,各タレット・スピンドルの動きを最適化してサイクルタイムを短縮するために,画面上でシミュレートしながら各工程を移動,コピー,編集したり,同期を設定したりする機能が紹介されていました.

 最後に,「異業種への展開」に対する取り組みですが,2, 3のベンダーが「Dental(デンタル)」用のシステムを出展していました.どのシステムも,専用の3次元スキャナ,専用のCAD/CAMソフトウェアがインストールされたPC,切削加工機で構成されています.切削加工機は,NCプログラムで動けばなんでもよいのですが,全てRoland製の専用機でした.すべてのプロセスがシームレスに連動しており,CAD/CAMに精通していない歯科技工士の人でも,複雑な形状の義歯を簡単に加工することができます.大変完成度の高いシステムで,これからの大きな可能性を感じました.

 明日も東京ビッグサイトに行きますが,午前も午後も別の用事があり,会場を見学できる時間は2時間ぐらいしかなさそうです.内容に漏れの無いように,しっかり取材したいと思います.

2012年11月2日金曜日

出張講義のために横浜山手へ

 平成24年11月2日(金)は,出張講義のために,JR根岸根岸線山手駅から歩いて15分のところにある 「神奈川県立横浜緑ヶ丘高等学校」 に行って来ました.題目は「産業を支える工作機械」,工作機械の素晴らしさを伝えたいという気持ちでした.午前中に空き時間があったので,昨日から開催されているJIMTOF2012の開場である東京ビッグサイトに移動し,「第15回 国際工作機械技術者会議」 に参加しました.最初の講演は,東工大の名誉教授であるI先生の講演でした.I先生,相変わらず元気ですね.年齢を感じさせない内容と歯切れのよいトークに圧倒されました.

 I先生の講演の終了後,すぐに移動しなければなりませんでした.JR根岸線山手駅に着いたのは正午前で,駅近くでお昼を食べるところを探しましたが,小汚いラーメン屋しか見当たらず,仕方なくそこに入りました.しかし,ここのラーメンが予想以上の美味しさで驚きました.食べログは辛口のレビューが多いですが,個人的には,ここの醤油とんこつのラーメンは,◎(にじゅうまる)です.また来てみたいと思いました.

 そして,肝心の出張講義ですが… うーん… どうだったのでしょう? まず,大学と同じインフラを県立高校に期待することはできないということが分かりました.常設のプロジェクターやマイク,PC音源の入力⇒スピーカーへの出力,エトセトラエトセトラ… 県立高校の環境整備は,大学以上に厳しいようです.
 そして,大学の専門を高校生に伝えることの難しさについて,色々と考えさせられました.今回は,「産業を支える工作機械」 という題目で,工作機械の歴史や概念,工作機械の基本である剛性設計(静剛性,動剛性,熱剛性)について説明しました.講義終了後,一人の学生に感想を聞いてみたのですが,分からない単語がたくさんあったみたいです.自分としては,高校生の負担にならないように配慮したつもりですが,理系志望の彼らでも,機械科の知識を得る機会は少ないということを痛感しました.確かに,高校で物理や化学は習いましたが,機械について学ぶ機会はありませんでした.その点では,電気の方が,高校生にとって身近なのかもしれません.高校生に特化した講義内容を練りあげなければいけないと思いました.

 講義終了後,近くにある(と言っても,歩いて20分もかかりましたが…)「本牧神社(ほんもくじんじゃ)」 を参拝しました.いつか参拝したいと思っていた神社でしたが,こんなに早く機会が訪れるとは思っていませんでした.鳥居や本殿は最近建てられたものでしたが,正面が海を向いていて,背面が林という立地が◎(にじゅうまる)です.また,参拝したいと思いました.

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2012年11月1日木曜日

天も誠にて天たり 地も誠にて地なり

 今日から,今年も11月に突入しました.今日から始まったJIMTOF2012,来週の国際会議,月末の型技術ワークショップ,依頼原稿の〆切が2件と,先月から引き続きイベント盛りだくさんの月であり,今年度最大の山場となりそうです.

 毎月1日には,大学の近くにある大好きな布多天神社を参拝して,その月の平穏無事を祈念することにしました.月一回と決めているおみくじを引いてみたところ,これまで生きてきた中で一番の内容が書いてある「大吉」でした.幸先の良いスタートです.

 先月の「敬天愛人」に続き,紹介するのがひと月遅れてしまいましたが,東京都神社庁が毎月発行している格言集「生命の言葉」.平成二十四年十月の言葉は,幕末尊皇攘夷の志士,真木和泉の言葉でした.

 天も誠にて天たり 地も誠にて地なり

 「天も天として、地も地としてきちんとある。同じように世の中にも人間にあるべき姿があるという意」 という説明が,リーフレットの裏に書いてありました.人間のあるべき姿,よくわからなくなっているような気がします.むしろ,幕末の人達の方が,自分の気持ちに正直に,人間らしく生きていたのかもしれません.

2012年10月31日水曜日

VERICUT Users' Exchange 2012 in Japan

というイベントで,「コンフィギュレーション空間に基づいた5軸制御加工のための工具経路生成方法」 というタイトルで講演するために,今日は東京ベイ有明ワシントンホテルに行って来ました.このイベントは,工作機械(5軸/複合旋盤/複合加工)GコードNCプログラム 切削シミュレーションソフト「VERICUT」 のユーザー会です.最近,私の研究室でも,これまで使ってきたシミュレーションソフトに替わるものとして導入し,大学院の講義でも演習をしていただいています.色々なご縁が重なって,今回,自身の研究について話す機会をいただきました.

 イベントの中で,米国本社社長とアジアパシフィックのカントリーマネージャーの方から,米国とアジアにおける製造業と VERICUT の現状と今後と展望について,それぞれ講演がありましたが,どちらの講演でも,VERICUT について貴重な意見をしてくれる日本のユーザーを大事にしているということが伝わってきました.同じような意見を,他の海外製CAMソフトウェアベンダーからもよく聞きます.まだ,加工に対するこだわりは,日本が一番ということでしょうか.

 VERICUT ユーザーの企業からも,同時5軸加工における事故防止について,VERICUT の動画を利用した分かりやすい講演がありました.私自身も経験のあるヒヤリハット事例もあり,興味深く拝聴しました.自社の失敗を公開する姿勢には,大変感銘を受けました.このような話題を提供してくれるユーザーがたくさんいたら,5軸制御加工の普及は加速するに違いありません.

 そして,私自身の講演ですが,今回はまあまあの出来だったと思います.先々週,金沢で同じような内容で講演したときの反省を生かすことができました ⇒「m-shige's log: 平成24年度第2回(第52回)最新加工技術に関する研究会」.続けて不本意な講演にするわけにはいかないと,自分にプレッシャーをかけていたためか,久しぶりに講演の直後に胃が痛くなりました.

 ユーザー会の後に行われた懇親会では,たくさんの人から声をかけていただきました.おかげで,30枚ぐらいあった名刺が無くなってしまいました.中には,「よく,型技術や機械技術の記事で,お名前を拝見します」 と言ってくれる方もいて,やっぱり,見ている人はいるのだと実感させていただきました.

 ユーザー会に貢献できたかは疑問ですが,自分自身にとっては大変有意義なイベントとなりました.お世話になったCGTech関係者の皆さまに,心より御礼申し上げます.

2012年10月30日火曜日

講義で出席を取る

 今日から,担当している講義で出席を取ることを始めました.個人的には,大学の講義では出席を取らなくてもよいと思っています.大学は実力主義,講義に出ていなくても,試験できちんと点が取れればよいと思います.しかし,私の講義は講演形式なので,きちんと講義を聞いていたか確認したいため,試験の問題は講義に出ていなかった人には分からないものが多いのです.本当は,学生が休みたくなくなるような魅力ある講義にするのが一番なのですが,サンデル教授のような講義をする力は,私にはありません… 講義に拘束する力を発動するために,出席を取ることにしたというわけです.
 しかし,ただ単に履修者名簿を読み上げて出席を取るというのでは芸がないと思い,各学生に固有の番号を割り当て,講義中に学生に質問する時に,iPadの乱数発生アプリを使って指名することにしました.氏名された時に居なければ,欠席となります.こうすれば,ちょっと緊張感のある遊び心も加わりますし,出席を取る時間を省くこともできます.今日の1限の講義で実行してみて,我ながら良いアイデアだと思いました.このまましばらく,様子を見てみようと思います.

2012年10月29日月曜日

ニワトリ会議はやめよ

が今日29日の 『日々のことば 本田宗一郎「挑戦」』 のことばでした.『ニワトリの群れに傷ついた一羽を放り込むと、皆でその傷をつついて殺してしまう。対局を忘れ、悪いところだけに目をつけるニワトリ会議になってはいないか。』 という解説が添えられていました.「ニワトリ会議」とは,部下や同僚の失敗に対して,集団で責め立てる会議のことです.恐ろしいことですが,こういう方向へ展開した会議の現場を,何度も見たことがあります.ニワトリ会議になる原因のほとんどは議長にあると思います.議長がニワトリ会議にすることが一番多いのですが,声の大きな人がニワトリ会議にすることを止められないこともあります.人間的に未熟な人が議長になってしまう組織自体に問題があると思います.大体,何度も同じ失敗をして,反省もしない人にならともかく,失敗をして傷つき,反省もしている人に対して,「どうしてそんなことをしたのか?」「こうすればよかったのではないか?」なんて意見しても無意味です.後からだったら,どんなことに対しても,どうとでも言えるのです.大事なことは,組織内で同じ問題が起こらないように,組織全体で問題の原因や対策について確認し合うことではないでしょうか.確かに,失敗そのものに対する責任は個人にあるかもしれませんが,組織の仕組み自体に問題があるのかもしれません.誰も予想できなかった失敗もあるでしょう.そういう失敗は生かさないといけません.何にしても,傷ついた仲間を殺すような組織に未来はありませんね.そんな畑からは,ニワトリは一羽もいなくなってしまうでしょう.

2012年10月28日日曜日

第9回 生産加工・工作機械部門講演会 二日目

 平成24年10月28日の日曜日も,日本機械学会 「第9回 生産加工・工作機械部門講演会」 に参加するために,秋田県立大学 本庄キャンパスに行って来ました.昨日のすばらしい晴天から一転,今日は朝からどんよりとした曇り空で,午後から強い雨が降ってきました.

 今日は内職しながら,ずっと 「切削加工」 のセッションのところにいましたが,色々な素材を工具や方法を工夫して加工する取り組みを,興味深く聴いていました.やっぱり加工の研究は,分かりやすくて,面白いですね.以前から考えていることがあるので,実験系の研究を再開してみようかな.

 お昼は,来年の11月に仙台の松島で開催されることになっている国際会議 「LEM21 MATSUSHIMA 2013」 第1回実行委員会に参加しました.夫婦で旅行したこともあり,思い出深い松島ですが,昨年の震災の時の津波で,かなりの被害があったと聞いています.この国際会議には万難を排して参加します.陸奥国一之宮 「志波彦神社・鹽竈神社」 を参拝して,東北地方の復興を祈念したいと思います.

 午後一の特別講演では,東北航空宇宙産業研究会の方が,「東北地区の航空宇宙産業の現状と将来 ―広域連携による産業育成の挑戦―」 という題目で講演されました.大変歯切れのよい話しぶりで,まったく眠くなりませんでしたが,航空宇宙産業の話はほとんどなかったですねぇ(笑) ただ,日本は高付加価値部品のサプライヤーとしての地位を確立するべきであるとか,分解しても分からないもの,すなわち,素材(例えば,フェライト)を扱うべきであるとか,色々と興味深い話題もあり,大変刺激を受けました.

 帰りの秋田空港で,お土産をしこたま購入しました.我が家へは,これから鍋でよく食べる 「きりたんぽ」 を11本と,秋田銘菓「金萬」 にしました.研究室へは,昨日まで日本酒の肴として食べまくっていた,たくあんの燻製(?) 「いぶりがっこ」 にしました.次回の研究室コンパの時に振舞いたいと思います(振る舞うと言っても,そんなに高価なものではありませんが…) 初めての秋田でしたが,綺麗な空気を満喫しました.いつか夏に訪れて,鳥海山に登りたいと思います.

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第9回 生産加工・工作機械部門講演会 初日

 平成24年10月27日土曜日は,日本機械学会 「第9回 生産加工・工作機械部門講演会」 に参加するために,秋田県立大学 本庄キャンパスに行って来ました.滞在先のホテルからパスで移動するときに見えた鳥海山が綺麗でした.場所が変わると,見える山も変わります.出張したときの楽しみの一つです.

 午後一の特別講演は,「グローバル化と人材育成 ―国際教養大学の挑戦―」 という題目で,国際教養大学の学長先生が講演されました.『グローバル化と国際化』,『「知の鎖国」と日本の大学』,『「国際教養」教育のすすめ』,『国際教養大学の在り方と挑戦』,『大学経営の特色』.一般教養が人格形成の基盤になっているということ.やっぱり,教育は甘やかしていいけないのだなと強く感じました.でも,一般教養を身につけるのは,個人的な問題だと思います.一般教養は行動を拡げ,専門知識は行動を深める.自分が進みたい方針に合わせて,取捨選択するべきものだと思います.ただ,最近の教育は専門性が強調されすぎているような気がします.色々と考えさせられる内容でした.

 午後のセッションで,研究室の修士1年のKK君が,「産業用ロボットを用いた研磨作業の自動化(切削用NCデータを利用したロボットプログラムの作製)」 という題目で論文発表を行いました.正式な学会での発表は初めてでしたが,出だしから早口で,明らかに緊張している様子でした.色々と教育的な質問をいただきましたが,まともな回答をしていませんでした.帰京したら,今後のことをについて確認しなければなりません.でも,彼は経験したことは生かせるタイプなので,今回の発表はよい経験になったのではないかと思います.

 夕方からの懇親会では,秋田の地酒が大量に振舞われました.明らかに足りない料理に見切りをつけ,ほとんどの時間,日本酒コーナーに張り付いて日本酒を堪能していました.秋田の地酒,なかなかのものです.良い一日でした.明日も期待大です.