2013年6月1日土曜日

平成二五年六月の朔日参り

 今日は6月の1日,午前中の所用を済ませた後,布多天神社へ 「朔日(ついたち)参り」 に行って来ました.関東地方も梅雨に入ったというのに,なかなか雨が降りませんね.梅雨は,どこにいったの?

 今月の 「幸せを呼ぶ 天然石おみくじ」 を引いてみたところ,結果は 「大吉」 でした! 六月は,前期最大の山場となる月なのですが,この強い運勢の波に乗って,確実に成長の節をつかみたいものです.焦らずに,手順を正しく踏んで行動していきたいと思います.
 くじと一緒に入っている天然石も,初めて 「瑪瑙(めのう)」 を獲得しました!「商売繁昌・身体健固」 を招く石だそうです.なんだか,今回のおみくじで,今月の運気を使い果たしたような気がします(笑)

 東京都神社庁が毎月発行している格言集 「生命の言葉」.平成二十五年六月の言葉は,岩手県が誇る詩人・童話作家,「宮沢賢治(みやざわけんじ)」 の言葉でした.

 誰だって、ほんとうにいいことをしたら
  いちばん幸せなんだねえ

 「人間は人のためになにかよいことをしたと思うとき、とても幸せな気分になれるものである。 出展『銀河鉄道の夜』」 という説明が,リーフレットの裏に書いてありました.貧しい農民たちのために献身的に活動し,「世界ぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない」 と述べていた宮沢賢治,純粋すぎるがため,自分の力不足を嘆き,苦しむ様子を綴った詩が印象に残っています.他人の不幸の上に立つ幸福などあり得ないのだということを,肝に銘じたいと思います.

JSPE第359回講習会と研究室月例コンパ

 平成25年5月31日(金)の午前中は,精密工学会が主催する 第359回講習会 「CAEのための材料力学 -基本に立ち返ろう」 で司会をするために,神楽坂にある 東京理科大学 森戸記念館 に行って来ました.

最初の京都大学の先生による基調講演は,なかなか格式の高いものでした.「理論,実験,シミュレーション,正しいものがあるか?」 完璧なシミュレーションは不可能ということは周知の事実.現在の材料力学で使われている理論式は,すべて近似式ということで,これもダメとのこと.やっぱり実験値かと思いきや,計測器の誤差や,計算機のための離散化などで,これもダメ.結局,どれも正しくないということでした.どれも不確かだということを認識しつつ,自分の仕事に適した利用方法を確立することが大事なのだと思います.

 昼食後,諸々の案件解決のために大学に戻りました.途中,「神楽坂若宮八幡神社(かぐらざかわかみやはちまんじんじゃ)」 を参拝しました.通りにそった細長い境内でしたが,モノトーン調で良い雰囲気でした.

 午後は,今週になって故障した工作機械と格闘しました.サービスセンターとのやり取りの結果,どうやら問題はレギュレーターの劣化のため,パワーが来ていないことが原因みたいです.来週,再確認です.

 5限の「CAD演習」の講義の後,研究室の月例コンパが開催されました.今週が誕生日だった私を,学生たちがケーキでお祝いしてくれました.「ハッピバースデートゥーユー ディア 森重先生」 は,ちょっと恥ずかしかったですが,このようなお祝いしてくれる場所があるのは,大変貴重ですね.今後は毎月,その月の誕生日を同じようにお祝いするように提案しておきました.21時過ぎから,今年3月に修士課程を修了した 特攻隊長 OKMT 君が合流,今の仕事の様子などを聞かせてもらいました.現場での作業,なかなか大変みたいですね.

 朝から晩まで,パタパタ駆けずり回っていましたが,意義のある一日でした.楽しい週末を過ごせそうです.

2013年5月30日木曜日

多忙な一日でした(5回目らしい)

今日は,やるべきことがたくさんあることが分かっていたので,8時前から大学の居室で仕事していました.手当たり次第に色々な仕事に取り組みましたが,仕掛品ばかりになってしまいました.でも,どの仕事がどれくらいのものか見当がついたことは,よかったと思っています.最近,忙しいと感じたときに,心がけていることがあります.それは,忙しいと感じないように,淡々と仕事をするということです.本当によく考える必要のある仕事を,淡々とすることは難しいでしょう.しかし最近,文章を書く仕事だけは,かなり淡々とできるようになってきました.私は,呼吸をするように文章を書けるようになりたいと考えています.このブログを毎日投稿しているのは,そのための練習でもあるのです.書きたいことがある時は,書きたいだけ書く.書きたいことがない時も,それなりに書く.やはり,どんなことでも続けることが大事なのだと痛感しています.これ以上調子に乗って書くと,原稿の依頼がたくさん来そうなので,今宵はこれまでにいたしとうございます(笑)

2013年5月29日水曜日

最後の決め手は人間味

が,今日29日の 『日々のことば 本田宗一郎「夢」』 のことばでした.『機械文明の発達によって、わたしたちの生活は ずいぶん便利になった。しかしその半面、何事もクールになりすぎるきらいがある。どんなに機械や技術が進んでも、最後の決め手になるのは 温かい人間味であることを 忘れてはならない。』 という解説が添えられていました.まったく,同感です.SNSなどのサービスや,スマートフォンなどのデバイスの普及によって,我々はどこからでも,あらゆる人とコミュニケーション出来る仕組みを手に入れました.しかし私は,「Face to Face」 で対話する機会を大事にしたいと思っています.SNSでは面白そうな人だと思ったのに,実際に会ってみたら,つまらない人だった,なんて言われないようにしたいものです.でも,知人の方に聞くと,私の第一印象は極めて良くないそうです.まだまだ人間味が足りないということですね.いっそう,精進したいと思います.

2013年5月28日火曜日

今日という日が生まれた日と一致するとき,みんなの声が聞こえる

今日,5月28日は,私の誕生日でした.朝から布多天神社を参拝して,44年間生きてこられたことへの御礼をしてきました.しかし,のんびり過ごしたいという気持ちをあざ笑うかのように,日中の仕事は最悪の展開となりました.いい歳なったというのに,まだまだ知らないことが多いなぁ… 絶望感でいっぱいになった会議の後,研究室で管理している工作機械の故障が,容赦なくオレを襲う…orz

 色々な案件を先送りにして,がっくりとうつむきながら帰宅した私を,妻の特製のミートソースパスタが,温かく迎えてくれました.いつもは飲酒にキビシイ妻も,今日はちょっとだけ寛容でありました.自分で自分を祝うために買ってきた,オーストラリア産の赤ワインが美味でした.ずいぶん元気が出ました.やっぱり,食べ物の力は偉大です.

 食後は,ショートケーキを肴にして,ウイスキーを楽しみました.これは,私の記念日の恒例となっています.今日のショートケーキは,贔屓にしている調布パルコ地下の店で買ってきた 「フルーツのミルクレープ」,ウイスキーは,スコッチを代表するシングルモルトウイスキー 「ボウモア」 をストレートでいただきました.さらに元気が出ました.やっぱり,お酒の力は偉大です.

 朝からたくさんのFacebook友達が,私のタイムラインにお祝いのコメントを投稿してくれています.その数,62(28日22時37分現在) 皆さん,ありがとうございます.本当に,嬉しいです.来年の誕生日も,皆さんからお言葉をいただけるように頑張ります.

「東成エレクトロビーム㈱」を見る

「たまの力 ~多摩ブルー・グリーン倶楽部会員企業のNEXT STAGE~」 の取材のために,平成25年5月27日(月)の午前は,東京都西多摩郡瑞穂町にある 「東成エレクトロビーム株式会社」 を訪問しました.以下,「である」調で書かせていただきます.


  東成エレクトロビーム㈱は,電子ビームの将来性に早くから着目し,他に先駆けて電子ビーム溶接のジョブショップとして1977年(昭和52年)に創業.以来,電子ビーム・レーザ加工の 「日本最大のジョブショップ」 として,研究開発・試作から量産まで,幅広く対応している.
  電子ビームとは,電子をビーム状に収束・加速して得られる粒子線である.電子銃の中の陰極フィラメントを真空中で加熱すると,熱電子が連続的に放出される.この熱電子が,電子銃の陰極と陽極の間にかけられた高電圧による強力な電場で加速され,ビーム(電子の流れの束)となる.この電子ビームを電磁的なレンズで絞り込み,溶接部へ照射すると,極めて短時間で電子の運動エネルギーが熱エネルギーに変換され,この発熱により材料の金属が溶融し,溶接が行われる.
  電子ビーム加工は,従来の加工法と比較して,エネルギー密度が非常に高く,熱が影響する範囲を最小限に抑えることが出来るため,細く深い溶けこみ形状が得ることができる.そのため,綺麗で歪みのない強力な接合が可能となり,従来の加工方法では不可能であった異種金属間接合,超微細加工(穴あけ加工,溝加工,切断加工等),高強度接合,高精度加工を実現するとともに,工程短縮,コスト削減,環境負荷低減等の目的にも大きく寄与している.
  東成エレクトロビームでは,航空宇宙関連の高信頼性部品や,特殊車両向けの高精度部品,その他高品質が要求される溶接加工に,電子ビーム及びレーザ加工技術を活用して,あらゆる業種の様々な技術的課題の解決に取り組んできた.電子ビーム・レーザの技術を,様々な素材の加工に適用し,ユーザーからの多種多様な要求に合わせて使いこなしてきた経験とノウハウが,東成エレクトロビームの大きな強みとなっている.
  2014年(平成26年)に打ち上げ予定となっている小惑星探査機 「はやぶさ2」 のプロジェクトにも協力している.このプロジェクトのハイライトとなるのは,搭載された衝突装置で,小惑星の表面に人工クレーターを作るというタスクである.衝突装置は,じょうごのような形をしたステンレス製の構造体の中に爆薬を詰め,銅製の円板でフタをしたような作りとなっている.探査機本体が小惑星の陰に隠れている間に爆薬に点火し,銅板を秒速約2キロメートルで小惑星の表面に衝突させて,表面を掘り返す.この衝突装置の,直径30㎝の銅板を,ぐるりと一周にわたって,一様な強度で,異種金属であるステンレスと溶接するという,プロジェクトの成否を握る難しい接合を任されているのが,東成エレクトロビームである.東成エレクトロビームが携わった部品が,様々なステージで極限に挑む.
  コーポレートステートメントとして,「Keep moving forward!!」 を掲げているが,これは,「常に変化し進歩を続けよう」 という意志を表明したものである.現在は,試作技術から量産技術に移行しなければならないという課題に直面しているが,変えてはいけないものと,変えなくてはいけないものがある.常に最新の設備に触れ続け,アプリケーションの提案力に磨きをかけ続ける.そして,試作技術にこだわってはいけない.

  「くっつけるのが好き」 という代表取締役社長の上野邦香さんは,やりたいこと,やらなければならないことを公言することによって,自分を追い込むことを日常としているという,とにかくストイックな方であった.「Next Stage」 として,今後の抱負を伺ってみたところ,まず,部品などででも自社ブランドを持って,メーカーになりたいということであった.これからの時代は,変化の予兆をつかむセンシング技術に活路があると見ている.実際,2025年までに,体内に埋め込んで血液の成分などをモニタリングする 「使い捨て生体検査センサ」 を,OEMメーカーとして量産したいそうだ.また,自身が惚れ込んでいる電子ビーム加工を徹底的にサポートするために,電子ビーム加工機そのものの自社開発にも,果敢に挑もうとしている.近い未来,「使い捨て生体検査センサ」「東成製電子ビーム加工機」 が,マーケットの新風となるであろう.←これを,プレッシャーにしてください(笑)

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2013年5月26日日曜日

「高千穂精機㈱」を見る

「たまの力 ~多摩ブルー・グリーン倶楽部会員企業のNEXT STAGE~」 の取材のために,平成25年5月24日(金)の午後は,京都八王子市北野町にある 「高千穂精機株式会社」 の八王子本社ビルを訪問しました.以下,「である」調で書かせていただきます

  高千穂精機㈱は,1959年(昭和34年)の創業以来,試験と計測のための専門商社として,主に国内の官公庁・大学・民間企業の研究開発部門に対する,機器及びシステムの販売を生業としてきた.取り扱っている製品は,光学測定機器,材料試験機,環境試験機,電子計測器,非破壊検査機,形状寸法測定器,真空機器・装置,自動車関連試験機器,変換機,センサなど実に多用であり,現在の取引先は4,000を超えている.
入口のロビーに展示してあるスバル360は,社員教育の一環で,電気自動車化されたもの.
  既存の製品を仕入れて販売するだけでは,他の商社との厳しい競争を勝ち抜くことは出来ない.そこで,ユーザーからの多種多様かつ高度なニーズに対応できるように,製品開発を担当するテクノセンターを社内に設置するなど,「販売だけの商社」 から 「想像する商社」 への変身を図ってきた.
 2010年(平成22年)に多摩ブルー賞を受賞した 「超小型多目的全粒製粉装置」 は,素材本来の成分や風味,食感を損なうことなく,素材の100%を食料に転換するために,「美味しく食べる」 ことを追求して開発した製粉機である.古来より使われてきた 「石臼製粉方式」 に,保有している特許技術を大胆に取り入れ,挑戦的な製粉機を開発することに成功した.
 店舗用として開発した小型の製粉装置は,高い性能ながら静音であり,現在店頭で使われているパン・蕎麦・ラーメン屋などに限らず,お茶・薬草・香辛料・豆類などの様々な分野で,挽きたて全粒粉を使用した安全かつ特徴のある商品を提供するために貢献するであろう.現在では,食品会社や外食産業,生産農家が自ら製粉することによって付加価値を高めた製品を提供できるように量産型の中規模製粉機モデルも開発しており,既に販売を開始している.
  上の写真は,左から 「小型製粉装置」「自動製麺機」「十割そば用ミキサー」 で構成された,「高千穂式低温製粉 3点セット」 である.開発した製粉装置は,機械式であるにもかかわらず製品の温度を上げることはなく,石臼の10倍の速さでそば粉が挽くことが出来る.全粒粉で挽きたてのそば粉の香りは最高だそうである.個人的に一番驚いたのは,十割のそば粉を自動で捏ねるミキサーである.私は蕎麦にはうるさい方で,どんなに蕎麦を作る工程の自動化が進んでも,そば粉に水を足して捏ねる工程だけは自動化できないと思っていた.しかし,その工程を自動化する装置が現実に存在して,それを使って作られた十割蕎麦は,試食などでも好評であるとのこと.今回は突然の訪問ということで試食することが出来なかったが,機会があれば是非,ご相伴させていただきたい.

 個別包装の製品が主流となっている現在,密封性を必要とするパッケージに漏れがないか確認する検査は,品質保証のために不可欠である.しかしながら,そのような 「リーク検査」 は,人による目視検査や官能検査が主流であり,個人差や誤判定が生じやすく,品質保証や安全性の面で問題となっている.
 高千穂精機が,「ほんの少しお役に立ちたい」 という気持ちで開発したという 「パッケージ リークテスター」 は,検査時に製品にダメージを与えることなく,好感度かつ高速なリーク検査を可能にする.製品の形状や生産量などに応じて,専用のラインを提供することもできる.
 2011年(平成23年),2年連続での多摩ブルー賞の対象となった 「GLT-8000ナイト」 は,特許取得済みである 「連続気体分析方式」 を採用したリークテスターである.気体の中でも非常に小さな原子であるヘリウムガスを数パーセント封入した後,シール不良やピンホールが存在する製品から漏れ出すヘリウムガスを瞬時に検出して合否を判定する.検出部の範囲内であれば,製品の大きさや形状を選ぶことなく,ベルトコンベアで検査部に製品を通過させるだけで,全数検査をすることが出来る.高千穂精機のオリジナル装置として開発されたモデルであり,今までにない検査装置となっている.

 下の写真は,「連続気体分析方式」 の前に開発した,「圧力検出方式」 のリークテスターである.個別の検査容器に製品を入れ,任意の設定圧力まで吸引あるいは加圧した時に容器内に生じる圧力変動を計測することによって,合否を判定する.

 高千穂精機の強みは,ユーザーとメーカーの間に入っている商社という立場を生かして,50年来の活動で積み重ねてきた,4,000社以上の取引先や,700~800社におよぶ仕入先メーカーとの信頼関係である.取引先との付き合いによって,ユーザー側のニーズを吸い上げ,得られた情報を取捨選択し,取引先メーカーと協力して装置を組み上げ,製品化を進める.ライバルになる可能性のあるメーカーとは,本来は相容れない存在なのかもしれないが,仕事を面白がってくれるメーカーを巻き込んで,お互いにいいとこ取りをしていきたい.
 今後,技術的な裏付けの出来ない商社は生き残っていけない.それが出来る商社としての強みを生かし,メーカーと商社の機能を補完しあいながらやっていく.情報に対する感度,アンテナは常に高くしておかなければならない.そして,ネタをモノにするためのしつこさがあれば生き残っていける.それに対応できるだけのスタッフ,執念深いメンバを如何に確保するかが,これからの製品開発の鍵となりそうだ.