2010年11月20日土曜日

JSME 第8回生産加工・工作機械部門講演会 二日目

 昨晩は,東横イン 岡山駅西口右 に宿泊しました.地方への出張の時にひいきにしているホテルチェーン 東横インですが,岡山駅近くには3つもあります.予約するときに混乱しましたが,結局,一番新しそうなところにしました.部屋の窓から岡山駅が一望できました.
 朝食は,東横インの定番である,おにぎり,味噌汁.漬物の3点セットでした.朝の温かい味噌汁は,大変ありがたいものです.もしかしたら,地元特産の「ままかり」が出てくるのではないかと,ちょっぴり期待していたのですが,これは叶わぬ夢でした.
 8時半にホテルをチェックアウトして会場の岡山大学に向かいました.私の電通大は,昨日の金曜日から明日の日曜日まで学祭の調布祭ですが,岡山大学も今日から学祭ということです.学祭期間中に併催される学会,あまり聞いたことがありません.おそらく,会場担当の先生は,とても苦労されたと思います.
 午前中は,切削加工のセッションの部屋で発表を聴いていました.切削現象の解明から,様々な応用技術まで,バラエティに富んだセッションでした.きちんと実験をして考察している発表は,見ていてなんだかほっとします.
 13時から,「進化する電気自動車 i-MiEV(アイ・ミーブ)」という題目で,三菱自動車で電気自動車 i-MiEV の量産プロジェクトを担当した方の特別講演がありました.今,世界中で注目されている電気自動車ですが,私はまだ街中で見たことがありません.
 電気自動車に肯定的な意見として,以下のような項目があげられます.
 ○環境問題など,世界に貢献しているという意識.
 ○加速性があり,坂道にも強い.
 ○振動がなく,静かである.
 特に,振動がないということについては,これまで振動に対応するために存在していた素材や構造における制約がなくなり,最初から電気自動車として設計・製造された本当の電気自動車が登場するだろうという話がありました.夢が膨らみますね.
 反対に,否定的な意見として,以下のような項目があげられます.
 ●高価である.定価で398万円.補助金を使っても284万円.
 ●後続距離が短い.クーラーを使うと100km.ヒーターを使うと80km.
 ●急速充電や普通充電のためのインフラが未整備.
 ●静かすぎて危険.
 i-MiEVは,いわゆる「死の谷」を越えて実用化されましたが,これからは既存商品や競争企業との戦い「ダーウィンの海」を越える段階ということです.
 特別講演が終わって帰るときに,展示してあったi-MiEVを見ることができました.思っていたより小さいという印象です.この大きさでは遠乗りは難しいと思いましたが,三菱自動車の調査によると,自動車で走る距離は,平日で40kmという人が90%,休日で60kmという人が80%ということで,意外に遠乗りする機会は少ないようです.日常的に使うためには,問題ないのかもしれません.少なくとも,私には向いている車です.
 水曜日から4日間,二つの学会をはしごして疲れました.明日の日曜日は,のんびり過ごしたいところですが,どうもそうはいかないようです.

2010年11月19日金曜日

JSME 第8回生産加工・工作機械部門講演会

に参加するために,今日は早朝から岡山に移動しなければなりませんでした.昨晩,宇都宮から調布の自宅に戻ったのは23時過ぎ.2時ぐらいまで仕事をして,今朝,自宅を出発したのが5時45分.完全に寝不足です.そのため,品川から岡山まで3時間強の新幹線車内では,ほとんど爆睡していました.おかげで,11時前に岡山に到着したときには,夜まで活動できることを確信しました.
 11時半には,会場の岡山大学工学部に到着.12時から部門運営委員会に参加しました.私は広報委員長として,来年1月に発行予定のニュースレター39号の進捗状況について説明しました.これまでの部門ニュースレターは,開催済みのイベントの報告などが多かったのですが,これからは純粋に読みたくなるような楽しい内容の記事を掲載していきたいと考えています.今度の39号には,日工会会長の寄稿や,ヤマザキマザックの技術レポートなどを掲載することになっています.できるだけ多くの方に読んでいただきたいと思います.
 午後14時15分より,私がオーガナイザとなっている「生産システムとCAD/CAM①,②」のセッションがあり,私はセッション①の座長を務めました.発表論文の良否については,コメントを差し控えさせていただきます.セッション①の後のセッション②では,私の研究室の修士2年筆頭(と言っても,一人しかいませんが)のMD君が,5軸制御加工の工具経路生成に関する論文を発表しました.MD君,とても堂々とした発表でした.◎です.質疑応答では,質問した大学の先生を上から見下ろすような受け答え.これも◎です.彼が発表する姿を見ていると,自信を持って話すことがいかに大事かよくわかります.他大学の先生も褒めていました.
 17時30分より,大学生協で懇親会が行われました.大学の生協らしくない料理もよかったですが,岡山大学オリジナルの純米酒がすばらしかったです.明日,生協にあったら買って帰ろうと思います.

型技術ワークショップ2010 工場見学会

 今日11月18日木曜日は,型技術ワークショップ2010 in 宇都宮の二日目.工場見学会に参加しました.私はCコースに帯同して,キヤノン(株)宇都宮工場と(株)ナカニシを見学することになっていました.
 朝8時10分に宇都宮駅東口に集合して,バスは20分に出発,8時45分にキヤノン宇都宮工場に到着しました.この工場は,主に一眼レフカメラの交換用FFレンズを製造しています.その他,キヤノンの製品が使用するレンズのほとんどを生産しているということです.
 まず最初に,レンズの組立工程を見学しました.やはり,セル生産方式でした.FFレンズは,高い品質を保証する必要があり,組み立てにも技能を必要とするので,まだ日本で製造しているということです.セル生産と言うと,多能工化など作業者に対して要求されるレベルは高いですが,習得すべき作業項目を適切に分類して,各項目をクリアさせながら多能工化を図っているということです.
 続いて,レンズの加工工程を見学しました.一般的なレンズはガラスモールドで量産されますが,高性能レンズは,荒褶⇒精研削⇒心取⇒研磨⇒コーティングなどの工程を経て加工されます.
 最後に,金型によるDO(回折)レンズの成形工程を見学しました.DOレンズの金型は銅製で,内製の超精密5軸加工機とダイヤモンドバイトを使って加工するそうです.高い加工精度が要求されるため,加工機の振動抑制と温度管理の徹底,工具形状と加工条件の最適化,ダイヤモンド工具の磨耗メカニズムの追求,ダイヤモンドの結晶方位の考慮,被削材の最適化など,様々な検討がなされています.
 ロマンチック村というところで,野菜たっぷりで豪華な昼食を取ったあと,もう一つの見学先であるナカニシに移動しました.
 ナカニシは,高速回転スピンドルを利用した工具で有名な会社です.最近お世話になった歯医者で使われているリュータは,この会社の代表的な製品です.また,毎分10万回転以上の主軸回転速度を要求される高速ミーリングでは,この会社の高速スピンドルがよく使われています.最近JIMTOFで活躍した私の研究室の卓上NCフライスも,スピンドルをこの会社のものに交換しようかと検討しているところです.「堅牢,優美にして安価」な製品の提供をモットーとしているそうです.
 ここでも,まず最初に組立ラインを見学しましたが,キヤノンと同様,セル生産に近い体制でした.続いて,加工工程を見学しましたが,製品の85%,17,000点以上の部品を社内で生産しているというだけあって,小型ですが様々な工作機械が多数導入されていました.回転する製品なので軸物の部品が多いようです.NC旋盤145台を1フロアに設備して,24時間体制で稼働させているCNC工場が圧巻でした.歯車を製造するための歯切り盤あり,射出成形機あり,レーザー加工機あり.本当にどんな加工でも対応できそうです.
 今日見学した企業は,どちらも主力製品を国内で生産しています.生産拠点の海外移転が進む今,日本でどのような製品を作ればよいかのヒントをいただいた気がしました.
 18時45分より,宇都宮駅近くの寿司屋で,型技術ワークショップ2010実行委員会の打ち上げが行われました.今回のワークショップは,実行委員長のYMさんを中心に,ホンダエンジニアリングの皆さんが本当に献身的に協力してくれました.協会理事の一人として,心より御礼申し上げます.私は幹事を拝命していましたが,実行委員会の最初の2回を欠席してしまい,完全に乗り遅れてしまいました.とても後悔しています.





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2010年11月18日木曜日

型技術ワークショップ2010 in 宇都宮

 今日11月17日は,「型技術ワークショップ2010 in 宇都宮」に参加するために宇都宮に来ています.朝6時前に自宅を出発,新幹線を利用して,8時過ぎには会場の栃木県総合文化センターに到着しました.街路樹のイチョウがとてもきれいでした.
 オープニング講演は「ハイブリッドスポーツ誕生ストーリー」という題目で,デザイン担当の本田技研の方と,生産担当のホンダエンジニアリングの方が講演されました.対象となった車はRC-Zです.従来の車は,設計工程でどんなにかっこいいデザインが提案されても,量産のための工程/作業設計を経るうちに,どんどん崩れていくそうです.RC-Zは,製造のためにデザインを諦めるのではなく,ピン角,ネガ面,つながりなど,デザインにあるものを忠実に際限するために,製造技術の方を改良したということです.これまでは,製造の可否を考慮して設計するものと考えてきましたが,今回の話はまったく逆の発想です.大変,感銘を受けました.
 オープニング講演終了後,昼食をはさんで2つのセッション,主にCAEに関連する8件の講演の座長を務めました.最初のセッションでは,プレス成形シミュレーションの内容が多かったです.いずれも,スプリングバック予測などを取り扱っていました.再現性は高いということでしたが,条件の設定が大変そうです.
 同じ部屋で最後に行われた放電加工のセッションで,大学の研究室の後輩のKMさんが発表していました.ワイヤカット放電加工に関するものでした.放電加工の加工液は,水と油の二種類が主に使われていますが,加工速度では水,加工精度では油,という住み分けのようです.環境の点では,水の方がよいように思えますが,どちらの加工液も交換が必要で廃液が出ますし,交換頻度やリサイクル性などを考えると,油の方がよいように思えます.今後は精密加工の需要が高まると思われるので,油加工液の利用が進むのではないでしょうか.大変,勉強になりました.
 最後に,地元栃木県産の農作物を使ったカクテルについて,特別講演が行われました.私は大手ビールメーカーの隙間を埋める地ビールの存在をリスペクトしていますが,このカクテルも言うなれば「地カクテル」です.ビールと同様,頑張って欲しいと思います.
 夜の懇親会では,宇都宮名物のカクテルで乾杯!やはり宇都宮名物の餃子も振舞われました.私は調子に乗って12個も食べてしまいました.どうも,外に出ると食べ過ぎていけません.懇親会終了後,理事が集まってJR駅近くのバーで二次会となり,ホテルにチェックインしたのは翌日の1時でした.とても充実した一日でした.

本日,以下のことばが一番印象に残りました.

「実際に
 それをやらないんだったら
 夢をみてもしょうがないんじゃないか?」


本当に,そのとおり.肝に命じます.

2010年11月16日火曜日

節が企業を強くする

が,今日16日の本田宗一郎の「日々のことば」でした.「節があるからこそ、竹は雪にも負けない強さを持つ。それは企業も同じこと。儲からないときが一つの節であり、企業の基礎固めができるよい機会となる。」 という解説が添えられていました.
 現在の日本は,2008年のリーマンショック以降,長い不景気の真っ只中.まったく先が見えません.一年ぐらい前は知り合いの企業の方も「これまで忙しくて勉強する時間がなかったんで,この不景気の間に新しいことをじっくり勉強させてもらいます」などと,前向きな発言をしていました.しかし,儲からない期間がこんなに長くなるとは思っていなかったのではないでしょうか.竹の節は,単なる区切りであるハズなのに,このままでは区切りの方が定常化してしまいます.寒い時代になったものです.

2010年11月14日日曜日

ユーザー不在のアフターサービス

 今日は,住んでいるマンションの総会に参加するために,朝から調布市文化会館 たづくりに行って来ました.管理事務報告から始まり,色々な議案がありましたが,その中で機械式駐車場保守会社変更に関する議案がありました.
 マンションの一階と地階に設備されている立体駐車装置のメーカー,仮にFSEとしておきますが,施工後も定期点検などを含んだ保守契約を締結していました.エレベーターもそうですが,装置のメーカーと保守契約を結ぶのは必然的なことだと思います.
 今年の4月,ある日の夜22時頃,利用者が帰宅して所定の場所に駐車しようとしたところ,安全装置タイムオーバーで機械が動かないという不具合が発生しました.すぐにFSEの作業員が駆けつけて修理(?)し,2時間ほどで復旧しました.しかし,この不具合,後日,管理会社が詳細について確認したところ,定期点検時の見落とし,すなわち,FSE側の人為的要因に起因することが判明しました.ここまでは,特に問題はないと思います.ミスは誰にでもありますから.問題は,ミスを犯したあとの対応です.
 FSEは,報告書に自社の人為的ミスが要因であることを明記することを渋り,最終的には正しい経緯報告書提出の要請を無視しました.また,当日の被害者は,復旧する見込みが不明だったため,一時的に近所の有料駐車場に車を停めていたのですが,この出損代替駐車料金の賠償も,FSEは免責事項であるという理由で拒否しました.最終的には,この出損金は賠償されることになりましたが,今回の賠償はあくまで例外であり,今後同様の案件が発生しても応じることはない旨の申し入れがあったそうです.
 FSEの業務内容についてWebで調べてみると,立体駐車装置事業の中に「アフターサービス」の内容も明確に掲載されています.こちらが例外的にお願いしているサービスではないのです.それにも関わらず,今回のような誠意の欠片も見られない信じられないような対応.開いた口がふさがりません.こんなにユーザーを不愉快にするような仕事しかできないのなら,事業から外せばいいんですよ.おそらく,アフターサービスのことを,低価格で提供した製品のバックマージンみたいなものと勘違いしているのでしょう.
 今回の案件,当日の夜にミスを認めて謝罪し,出損金もすみやかに賠償すれば,このような大事にはならなかったハズです.このようなユーザー不在のアフターサービスに囲まれていることを,本当に残念に思います.ちなみに,賠償された出損金ですが,支払われたのは7月,金額は600円でした.そして本日の総会で,機械式駐車場保守会社変更議案が,満場一致で可決されました.