2011年3月21日月曜日

世界の放射線被曝地調査

という新書を昨日から読んでいます.講談社のブルーバックスのB1359で,2002年1月20日第1刷発行ですから,もう9年も前の本になります.この本を購入した当時は,茨木県東海村の臨海事故が起こり,放射線被曝の話題が注目されていました.私も何か読んで勉強しようと,書店に並ぶものの中から選んだのがこの本です.買うまではよかったのですが,じっくり読むことなく,今までずっと自宅の本棚に眠っていました.今回の福島原発の事故の報道を聞きながら,自分があまりにも放射線について無知であることを実感したので,読んでみることにしました.
 内容は,米国の水爆実験の舞台となった南太平洋の島々から,旧ソ連の核兵器実験場カザフスタン,シベリアの核爆発地点周辺,原爆用プルトニウム製造所からの廃棄物汚染などのあった南ウラル,世界を震撼させた原子力発電所事故のあったチェルノブイリ,さらには臨界事故のあった東海村まで,著者が自ら測定してまわった調査の結果をまとめたものです.研究者の報告書といえば,導入,目的,手法,結果,考察,まとめ,などが淡々と書かれており,専門外の人が読んでも面白くないものが多いのですが,この本は調査の様子なども具体的に書かれていて,非常に読みやすくなっています.また,第1部では,核爆発,放射線被曝,核兵器実験,原子力発電・核燃料サイクルなど,放射線被爆に関する基礎知識がよく整理されており,この第1部を読むだけでも勉強になると思います.また,巻末の特別章として付いている「緊急時にあなたができる放射線防護のための10の対処法」は必見です.読み物としてだけでなく,データブックとしても使えます.
 結論として,この本は大変な良書だと思います.内容はまったく錆びていません.熟読することにより,放射線被曝に関する正しい知識を得ることができるでしょう.そして,冷静に行動しましょう.

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