2009年4月2日木曜日

積層造形装置のあり方

 昨日,積層造形装置の導入作業が終了しました.本当はとっくに使えるようになっていなければならないのですが,PCと装置のイーサネットを介した通信が不安定という問題が判明し,その解決のために二日ほど業者の方に作業してもらっていたのです.しかし,結果として原因がよくわからず,何とか使えることが分かったので,とりあえず様子を見ながら使っていこうということになりました.
 来週の火曜日を Free Trial Day として,希望者に実際に成形したい形状のSTLデータを持ち寄ってもらい,作業を体験してもらおうと学科の教員にアナウンスしたのですが,反応はいまひとつですね.先月の搬入時に開催した説明会では,活用に意欲的な研究室がいくつかありそうな気がしましたが,今のところ見学希望が2研究室ほどで,実際に成形することを希望する団体はありません.当日は,私の研究室の学生がいくつか成形すると思いますが,私の研究室でこの装置を使うことはあまりないと思いますので,これはいわゆるサクラです.
 皆さん,あまり興味がないのかなぁ,と思いながら,今日開催されたロボメカ工房の幹事会で学生達に成形サンプルを披露したところ,かなり食いつきがよくてうれしく思いました.やはり,「こんなものも成形できるのか!」という感動が大事ですね.
 積層造形という成形方法を,あまり好ましく感じていない教員がいることも承知しています.デザインや機構設計は,加工可能性などを考慮して行うものであって,加工の苦労を知ることなく成形品を手にするのは,問題があるという意見もあります.私も,機械加工でできるものを,何も考えずに積層造形装置で作るというやり方は大反対です.生産システム工学の講義などでは説明していますが,積層造形は消耗品などのランニングコストが高いため,コスト的には手軽とは言えないのです.
 しかし,成形方法の限界に縛られることなく,練りに練ったスペシャルな機構を実空間に創製することができるというのは,すばらしいことだと思いませんか.アイデアがダイレクトに出力される仕組みなのです.これまでの知識にとらわれることなく,自由な発想で設計されたすばらしいメカが成形されることを楽しみにしています.

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