工業調査会，自己破産申請へ

　本日の夕方，工業技術関連書籍の老舗出版社である工業調査会が事業停止，自己破産申請の準備をしているということを，ツイッターで知りました．
　月刊誌の「機械と工具」は，研究室で定期購読しています．考えてみれば，2000年に初めて単独で解説論文を執筆して寄稿したのが「機械と工具」でした．どのぐらいの内容にすればよいか見当がつかず，とにかく調べられるだけ調べて，書けるだけ書こうと，死に物狂いで取り組んだことを懐かしく思い出します．それ以来，10年ぶりに今年の５月号に寄稿したばかりです．自分にとって最初と最近の解説論文が「機械と工具」ということになり，なんだか複雑な気分です．
　書籍の「ビギナーズブックスシリーズ」も，思いつくだけで，はじめての画像処理技術，はじめてのCAD/CAM，はじめてのプラスチック成形，はじめての金型材料，はじめての切削加工，はじめての金型技術，はじめての生産システムなど，講義の参考にするために多数購読してきました．このシリーズがなくなるというだけでも，私にとっては大きな痛手です．
　広告収入が激減したことが，大きな原因の一つということです．企業にとって，広告は不景気になると真っ先に削減されるところ．最近，工業雑誌の厚さが数年前と比較してずいぶん薄くなりましたが，これは広告数が減ったためです．出版社だけでなく，私が所属している学協会でも，広告数が激減して資金の調達が厳しいようです．今後，広告収入に依存する体質のままでは，生き残ることが難しいかもしれません．