先週の金曜日,2010年10月1日に開催された,日工会の技術懇談会では,講演されたドイツ製5軸制御工作機械ユーザーから,日本の工作機械メーカーに提案された技術的な要望がいくつかありました.忘れないようにまとめてみたいと思います.
1.軽量化とコンパクト化
工作機械は,いわゆる剛性を重視して設計されます.静剛性や動剛性を高くするためには,ある程度の重量が必要で,そのために大きくなるのもやむを得ないという考えが支配的でした.しかし,精度に違いがないのであれば,軽くて小さい工作機械の方が望ましいに決まっています.重い機械は地盤の弱いところに設置できませんし,スペースが足りないため工作機械の導入を断念したという話もよく聞きます.重量や大きさが,導入の可能性を狭めているのです.ドイツの工作機械は軽量かつコンパクトなものが多いように感じます.
2.回転軸の誤差を自動計測してキャリブレーションする機能
5軸制御工作機械には2つの回転軸があります.少し難しい話になりますが,CAMから出力された工具経路データを,NC装置内部で機械の動きに変換するときに,並進X,Y,Z軸の中心線と回転軸のオフセット距離を参照します.すなわち,このオフセット距離が所定の値と異なると,機械の動作にズレが生じ,加工誤差の原因となります.この回転軸のズレを計測し,その結果に基づいてNC装置が工作機械の動きを補正する機能が求められています.この課題については,熱心に取り組んでいる大学の研究グループがありますので,近い将来に解決されるものと思いますが,このような誤差の考え方や,計測方法,評価方法については,きちんと国際規格にする必要があるということで,関係者の皆様のご苦労がまだまだ続きそうです.
3.廉価版の工作機械の登場
例えば,割り出し加工に特化した回転軸を持つ小型5軸制御マシニングセンターなど.企業委員のコメントから判断すると,今月末から東京ビッグサイトで開催されるJIMTOF2010では,日本の工作機械メーカーも廉価版の工作機械を多数出展するそうです.このような機械で大事な評価項目は,なんといっても販売価格でしょう.小さいくて高価な機械は,これまでもたくさん見たことがありますが,小さくて安価な機械はあまり見たことがありません.価格に徹底的にこだわりつつ,これまでの日本の工作機械と同等の精度を保持する機械が出てくることに期待します.
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