2010年5月23日日曜日

一歩だけ先を見る

が,今日23日の本田宗一郎 日々のことばでした.「大衆の要望を無視した独創は、独り善がりにすぎない。ゴッホの絵のように、十年も二十年もたったあとに認められる商品では、商売そのものが成り立たない。」という解説が添えられていました.
 本田宗一郎氏やゴッホに対して恐れ多いことだと思いますが,このことばだけは,私は大学人としてそのまま受け入れるわけにはいきません.大衆の要望を無視しないという最初の文章については同意です.しかし,一歩だけ先,なんて言っていたら,同僚や知り合いの大学人にバカにされそうです.大学人は十歩,いや,百歩先を見なければならないと思います.
 決して企業を下に見ているわけではありません.解説にもあるように,開発に何十年もかかる商品では,商売そのものが成り立たなくなります.実際,そのような商品を目にしたことはありません.企業は,しっかりと先を見据えて商品を開発し,確実に利益を出さなければなりません.これは本当に大変な仕事です.大学人には絶対できないと思います.
 大学と企業の共同研究などで,考え方の相違が問題になることが多いようですが,お互いのやり方を押し付けあっても,うまくいくはずがありません.大学と企業は違うのです.だからと言って,産学協同をあきらめるのではなく,お互いの得手・不得手を認識し合あうことができれば,必ず良い関係が築けると思います.

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