今日は,研究室のメンバ全員で,埼玉県朝霞市にある大槇精機という会社を見学しました.この会社は,私が研究テーマとしてきた5軸制御加工で大変有名な会社です.森精機が主催する昨年度の切削加工ドリームコンテストで金賞を受賞しただけでなく,5軸制御加工用のCAMソフトウェアとしてデファクトスタンダードとなっているドイツのOPEN MIND社の「2009 CAM AWARD」を日本企業として初めて受賞するなど,これまで日本の製造業が苦手としてきた5軸制御加工技術で世界的な評価を得ている企業として注目されています.
ツイッターを通して,この会社のセクション・マネージャの方と知り合いになり,是非,研究室の学生達に最高レベルの5軸制御加工を見せてほしいとお願いして,今日の見学会となりました.
14時にお邪魔するという約束で,最寄の東武東上線 朝霞駅に13時半に集合して歩き始めたのですが,道を左に一本,間違えてしまったようで,西に向かうところを南に進んでしまい,炎天下の下,45分も歩くことになったうえに,15分も遅刻してしまいました.自己嫌悪…
会社に着いて,まず,いわゆる町工場とはまったく違った建物の外観や内部の様子に感心いたしました.数年前に,ドイツの国際会議の時にBOSCHを見学したときの印象に似ています.大変きれいな職場です.最初に,まだ30台という社長さんから,会社概要を詳細に説明していただきました.40名の社員の平均年齢が34歳ということで,これも若い後継者の不足に悩んでいる一般的な町工場と大きく異なります.若い人が働きたくなるような雰囲気を感じました.
まだ5軸制御加工を始めて2年ということですが,たった2年で最高レベルの加工技術を持つに至った大きな理由の一つとして,先ほどのCAMソフトウェアだけでなく,工作機械やNC装置もドイツ製のものを導入したことが大きいと思います.ドリームコンテストに出品したアルミ製ヘルメットの実物を見せてもらいながら,色々と苦労話や自慢話を聞きましたが,日本製の設備だけでは,トライすることすらあきらめていただろうということでした.見学した工場も,5軸の工作機械は,全てドイツDMG社のものでした.日本のメーカー,本当にがんばらないといけません.
工場を見学した後,ヘルメットの加工を担当した技術者の方3人との座談会の時間まで設けていただきました.学生の質問にも丁寧に対応していただいたうえに,最後はCAM操作の実演までしていただきました.本当にありがたいことです.
17時前に失礼しましたが,若い人が楽しそうに働いている様子に感銘を受けました.見学した学生にも大変好評でした.おそらく,学生はいわゆる中小企業を見学したことはなかったと思いますが,中小企業の印象が変ったのではないでしょうか.研究室で見学させていただいて,本当によかったと思います.大槇精機の皆様,心より御礼申し上げます.
自分の研究が,今日見学した会社の仕事の役に立つかどうか考えてみました.干渉が厳しい細部を削る時に,色々と試行錯誤しながら長時間をかけてパスを計算しているという点については,荒加工でも仕上げ加工でも何らかの提案ができると思いますが,座談会に参加していただいた技術者の方は,その試行錯誤的な作業すら楽しんでいると感じました.辛そうな様子だったらともかく,楽しんでいる人の邪魔をするのは無粋というものです.ただ,実務的な要望があった時,迅速に対応できるように,プログラムを整備しておく必要があると思います.要求のレベルは高くなると予想されますから.
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿