2014年7月8日火曜日

人を育て,自らも育てる.

 東京都神社庁が毎月発行している格言集 「生命の言葉」.平成二十六年七月の言葉は, 伊勢皇大神宮の神官 「荒木田守武(あらきだ もりたけ)」 のことばでした.

 世の中に人をそだつる心こそ
 我をそだつ心なりけれ

「人を育てる心は、すなわち自らを育てる心につながる。人を育てることは、自らの成長でもある。」 という説明が,リーフレットの裏に書いてありました.

 大学人は,研究者でもあり,教育者でもあると思っています.私も教育者として,微力ではありますが,人の成長を助けていると自負しつつ,その責任も感じています.しかし,人を教えることで,自分自身も成長しているという実感もあります.

 例えば,講義などで話しながら,「なるほど! そうだったのか!」 と突然閃くようなこともしばしばです.自分で作ったスライドなのに,不思議に思われるかもしれませんが,話しているうちに知識が整理されて,より深い理解のレベルに到達するような感じです.また,研究室の学生とのミーティングなどでは,まったく知らなかったり,考えたこともなかったような提案もあったりして,その度に大きな刺激を受けています.

「彼は,私(この学科,大学)のおかげで,一人前になったんだ」 とか,「今の彼があるのは,私(この学科,大学)の教育のおかげだ」 なんて主張をする指導者みたいな方にお会いすると,ウンザリするというか,ハッキリ言って反吐が出ますね.おそらく,当該の卒業生は,こんな指導者に関わることさえなければ,もっと早いうちに,もっと高いところに到達することが出来たに違いありません.

 大学を卒業した人の立身出世は,全て卒業後の本人の努力によるものだと思います.大学の研究室に配属されて,見違えるように伸びる学生がいますが,彼らは指導教員に教えられたとおりに伸びたのではなく,もともと伸びる素地があり,伸びるきっかけを与えられただけなのです.

 人に良い影響を与え,さらにそれが感謝されるようなことがあれば,教育者として望外の喜びです.せっかく教育者の端くれなのですから,そのような教育者を目指したいと思います.

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