今日は,日工会の平成22年度第1回技術懇談会企画委員会と第39回産学技術懇談会に出席するために,午前中から東京タワーとなりの機械振興会館に行って来ました.
まず,11時からの技術懇談会企画委員会,前回から議論している「訪問技術懇談会」の実施について,最終的な調整を行いました.工作機械関連企業が抱える技術的な諸問題に対し,大学研究者が各企業を訪問する形で,解決方法を見出すための懇談会を実施するというものです.本当は,企業と研究者を一度に集めて意見を交換したほうが効率はよいのですが,そのような形で実施した懇談会では,どの企業も他の企業を警戒して,なかなか建設的な意見を出してきません.そこで,研究者数名で一つの企業に出向き,相談に乗ろうというものです.機密保持や旅費など,色々と細かな問題はありますが,とりあえず実施してみることになりました.今のところ,訪問を希望している企業は数社のみですが,それぞれの訪問が成功して,良い方向に進めばと思います.
14時から,この委員会で企画した産学技術懇談会が開催されました.テーマは「鉄道車両製作にかかる生産加工技術の現状と将来動向」でした.最近,日本の鉄道システムが世界で高い評価を得ており,今後,輸出産業として期待できるのではないか,とうような論調の記事を,色々な紙面で見るようになりました.工作機械業界としても,鉄道産業の工作機械ユーザーとしての動向に注目しています.今回,鉄道車両製造に携わっている関係者を講師として招き,懇談しようということになったわけです.
最近の車両構体は,セラミックやアルミでできていて,アルミの場合,押し出し成形で作られた,内部が中空になっているダブルスキンという板材が広く使われているようです.この板材を切断したり窓穴をトリムするのが難しいのですね.今はエンドミルで切り出しているそうですが,切削力が大きいので,押さえつけるのが大変です.レーザーやウォータージェットの適用がすぐに考えられますが,レーザー加工はレーザー光が反射してしまううえに,アルミとも相性が悪いようです.ウォータージェットは,加工自体は問題ないのですが,水を大量に使うため,作業環境の点で問題になり,積極的に導入はしたくないとのこと.やはり,多軸レーザー加工でしょうか?
あまり詳しくは書けませんが,鉄道車両メーカーは,鉄道車両を積極的に輸出する気はなさそうです.ちょっと,がっかりしました.これ以上書くと,悪口ばかりになりそうです.気になる人は,私に直接質問してください.以上.
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