2019年3月24日日曜日

「わたし、型屋の社長になります」を読む

 昨日と今日で,上野歩さんの製造業応援小説「わたし、型屋の社長になります」の文庫オリジナルを読了しました.このタイトルは前から知っていて,興味は持っていたのですが,読む機会がありませんでした.先日,知人から私の金型の本が参考文献として載せられていることをTwitter経由で教えていただき,そのお礼というわけではありませんが,これをきっかけにきちんと読んでみようと思ったわけです.タイトルと名前から上野さんは女性だと思っていたのですが,男性の方だったんですね.これまで大変失礼いたしました.

 病気で復帰できなくなった父親に替わって家業の型屋を継いだ女性社長の奮闘を通して,中小製造業の心意気を描いたエンタメ小説です.とても読みやすい文章で,一気に読めてしまいます.最後は初心者には少し難しい内容になってパタパタと終わる印象ですが,読み終えてとても清々しい気分になりました.読んでよかったです.専門家の方には物足りないと思われるかもしれませんが,これ以上難しくしたら初心者が読み切ってくれないと思います.この小説の難易度はとても適切だと思いました.

 多くの取材を重ねて勉強されていることがよく分かりました.伊澄製作所の伊澄社長のモデルが誰なのかすぐに分かりました.伊藤社長,懐かしいですね.私も実際にお話しさせていただいたことがあり,その時に教えていただいたことをはっきり覚えています.おそらく,上野さんも同じような感動があったのだと思います.

 個人的に嬉しかったのは,確かに私の著作を参考にしてくれているのが分かったことです.そうして書かれたこの本が,さらに多くの人に金型を伝えていく.こういう社会貢献の形があるのだということを教えていただきました.私自身もさらに勉強して,文章による有益な情報発信をしていきたいと思います.

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