2008年12月12日金曜日

力覚呈示装置を利用した工作機械操作インターフェイス(3)

m-shige's log: 力覚呈示装置を利用した工作機械操作インターフェイス(2) の続きではありませんが,どうしてこんな研究をしているのか書いてみます.

 工作機械自体は多軸・複合化など複雑に進化しているのに,そのインターフェイスはボタンやハンドル,ジョグダイヤルなどから,ほとんど進化していません.このようなインターフェイスでは5軸を同時に動かすようなことはできないので,動作をCAMなどでプログラムして,NCで加工することになります.しかし,CAMでできることはプログラムされたことだけです.人の考えは無限で,それらを全て考慮した機械動作を計算するCAMの実現は困難です.よく加工を知っている人は,CAMが出力するパスに妥協していると思います.
 人は,もっと良い加工動作を呈示したいはずです.それを機械に伝えるための手段がない.人の能力が反映できる汎用機と違い,今の多軸制御工作機械は偉くなりすぎて,人から乖離しています.人が介在しない量産には向いていますが,試作などでは思い通りに使うことが出来ません.今でも汎用機を好んで使う職人が多いのは,このためではないでしょうか.
 例えば,5軸制御加工の荒加工については,満足なパスを計算できるCAMは存在しません.仕上げ対象が明確な仕上げ加工と比較して,加工対象が空間となる荒加工のパスを計算するのはとても難しいのです.ここをこういうふうに削ればよいと,人はわかっているのに,それを計算機に伝える手段がありません.

 まず,人がやりたいことが伝えられるように,工作機械やCAMと人の間にあるインターフェイス「界面」を変える.

 5軸制御機械を汎用機のように使えるようにしたい.自由度の高いこの機械を,誰でも簡単に使えるようにすれば,ものづくりの可能性は間違いなく拡大されます.
 昔,日立造船情報システムが「ソフトウェアを,人のそばに」というコピーを使っていて,いい言葉だと,ずっと思っていました.これを拝借して
「工作機械を,人のそばに」 さらには
「ものづくりを,人のそばに」 としていきたい.(つづく)

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