2010年9月12日日曜日

情熱の継続ということ

「ラグビーに乾杯!」という,1999年8月31日に初版で発行された古い本があります.ラグビーマガジンの人気連載コラムをまとめたものです.その中の102-103ページに,早稲田大学と日本代表で監督をされた故大西鐵之祐先生の思い出を書いたエピソードがあります.私はこのエピソードの内容が大好きで,コピーを居室の書棚に貼り付けています.

 情熱を持つのはたやすい。難しいのは、その情熱をいつまでも持ち続けることだ。

 若い選手はよく口にする。
「ラグビーだけって、ヤなんですよねぇ。もっといろいろチャレンジしたい。」

 理屈は通る。だが、たった一つのことですら、やり遂げる人生がどれほど難しいか。けれどもそれを貫けばしぜんに世界は広がっていくのだと、その生き方は教えてくれる。


 私のような門外漢が言うのもなんですが,大西先生は本当にラグビーのことばかり取り組まれた方だと思います.おそらく,一日中ラグビーのことばかり考えていたのではないでしょうか.

 幅広い知識を得るために,あらゆることに手当たり次第に手をつけて学ぶことを,私は否定するものではありません.知識は,あらゆる新しい行動の基盤になると考えるからです.どんな知識がいつ役に立つか,予想することはできません.多くの知識を詰め込んでおくことは必要だと思います.
 しかし,特定のこと一つに集中して取り組んだ場合,それしかできないような不完全な人間になってしまうかといえば,絶対にそんなことはないと確信しています.一つのことだけを目標に取り組んでいても,必要な知識を得るために無意識のうちに多くのことを学ぶからです.
 これまでにも「勉強と研究は違う」と,何度も主張してきました.私は研究を進めるために勉強することはあっても,どんなに勉強しても研究として認められる成果を得ることはできないと考えています.
 勉強することは大事です.何からも拘束されることなく,好きなことを好きなだけ学ぶということは,とてもよいことだと思います.
 しかし,研究のようにまったく新しいことを始めるときに,勉強から入るのはどうかと思います.実現すべき目標を明確にして,そのために足りない知識を見極めて「勉強」するのが正しい方針ではないでしょうか.

「人生とは、意気であり、感激であり、かえり見る微笑みである。」

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